「字をきれいに書きなさい」で変わらない子へ|算数・数学で直したい数字の書き方

生徒がノートの図を指しながら考え方を話し、講師が耳を傾けるイラスト コラム

算数・数学でまず直したいのは、字の見た目全体ではなく、自分や採点する人が数字を読み違えてしまう書き方です。

「もっと丁寧に書きなさい」。何度言っても、子どもの字が変わらない。ノートを見るたび、同じ注意を繰り返していませんか。

私自身、字がきれいな方ではありません。だからこそ、計算ミスを減らすための指導と、字を美しく整えるための指導は、分けて考えています。

この記事で分かること

  • 01計算ミスを減らすには、字を全部きれいにする必要がある?
  • 026と0、1と7と9など、見間違える数字をどう見つける?
  • 03小学生にも納得してもらえる声かけは、どう変える?

「きれいな字」が、そのまま点数になるわけではない

文字を丁寧に書くことに意味がない、と言いたいわけではありません。相手が読めることは大切ですし、漢字の形を問う問題など、書き方そのものを学ぶ場面もあります。

ただ、算数・数学の計算で失点したときに、毎回「字が汚いから」で済ませるのは、話が大きすぎると思うのです。

試験中は時間も限られています。本人にとっては「全部ゆっくりきれいに書いていたら、終わらない」という気持ちもあるでしょう。そこで字全体を直すよう求めても、何を優先すればよいか分かりません。

速く書くことを一律に否定するのではなく、速く書いても数字を区別できるかを確かめます。

「字が汚くてもよい」は、「何と書いてあるか分からなくてもよい」という意味ではありません。読めるかどうかという基準は、外せません。

その子の答案で、何と何を見間違えているのか

見間違える数字は、子どもによって違います。例えば、私が気にしているのは次のような組み合わせです。

  • 6 と 0自分の6を、次の計算で0と読んでいないか。
  • 1・7・9急いで書いたとき、どの数字か分かりにくくなっていないか。
  • 8 と 6書いた本人と、読む人で違う数字に見えていないか。

これは、全員がこの数字を間違えるという一覧ではありません。大切なのは、その子の答案で実際に何が起きていたかです。

計算の途中では6と書いたつもりだったのに、次の行では0として扱っている。そうした箇所が見つかれば、直す対象は「ノート全部」ではなく、その数字の書き方になります。

「字が汚い」と一括りにせず、実際に読み違えた数字を特定して、そこから書き分けを直します。

逆に、字は整っていなくても、数字を読み違えず、採点する人にも伝わるなら、今回の計算ミスには別の原因があるかもしれません。見た目だけを理由に決めつけず、途中式や答えを見ます。

私なら「6と0だけ、書き分けよう」と伝える

小学生に、長い理屈を全部話しても伝わりにくいことがあります。私は、本人に関係のある理由を短く伝えるようにしています。

「俺も字は汚いから、全部きれいにしなくていい。
でも、この6と0だけは書き分けよう。
ここで点を落としたら、もったいないやん」。

口頭での声かけを整えると、こういう伝え方です。1と7と9が混ざっている子なら、そこを取り上げます。

「先生の好みに合わせて、字をきれいにしなさい」ではなく、「せっかく解けた問題の点数を、自分の書き方で失わないようにしよう」という話にするのです。

小学生にも、直す理由への納得感が大切です。「きれいに」ではなく、「この数字を読み違えると点を失う」と具体的に伝えます。

私の指導では、こうして対象と理由を絞ると、話がすっと入ることがあります。もちろん、一度の声かけで必ず直るということではありません。その後のノートでも、書き分けられているかを見る必要があります。

全部を直す前に、一つの書き分けを確かめる

家庭で確認するなら、例えば次のように、答案を見ながら小さく進められます。

  1. 場所を見つける→どの行の、どの数字を読み違えたかを指す。
  2. 対象を絞る→今回は6と0など、直す書き分けを一つ決める。
  3. 次で確かめる→次の問題でも、その数字を区別して読めるかを見る。

ノートを一冊まるごと書き直すことより、まず失点につながった一か所を変えられるか。この順番を大切にしたいと考えています。

試験本番だけ急に違う書き方を求めるのではなく、普段の宿題や計算の中で確かめます。ゆっくりなら書き分けられても、いつもの速さに戻すと混ざるなら、その場面も見ていきます。

書き方が原因ではなく、計算手順の理解や練習が足りない場合もあります。ノートの見た目を整えるだけで解決しようとせず、必要に応じて学習内容へ戻ります。「分かったつもり」を確かめる個別指導でも、答えだけで判断しない考え方を紹介しています。

目指すのは、きれいなノートそのものではなく、解けた問題を正しく答えとして残せる書き方です。

よくある質問

字が汚くても、何も直さなくてよいということですか?

いいえ。本人や採点する人が読み違える書き方は直します。字全体の美しさではなく、失点につながっている具体的な箇所から改善する、という意味です。

「読めるからいい」と本人が言うときは?

字の好みの話で押し合うより、実際に読み違えた答案を一緒に確かめます。どの数字を何と読んだのかが分かれば、なぜ直す必要があるのかを話しやすくなります。

勉強のつまずきをどこから整理するかは、学習法を見直すための解説も参考になります。

Boost Academyでは、個別指導や自習中のノートを見ながら、その子がどこで点を落としているかを確認します。「もっと丁寧に」と繰り返す前に、変えるべき一か所を一緒に探しましょう。

コラム
島谷悟

株式会社ロマネスジャパン代表/Boost Academy塾長。灘高・東京大学卒。学習指導そのものよりも、生活習慣や家庭での関わり方を重視し、日々の行動から変えていくサポートを行っています。正しい方向と正しい方法で努力して成果を出すことにこだわり、そのうえで目いっぱい遊ぶことが大切だと考えています。学ぶ力と遊ぶ力の両方を育てる指導を大切にしています。

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