算数・数学のテストで時間が足りない?「解ける」と「間に合う」は別の実力

生徒と講師が印の付いた課題を確認し、次に取り組むことを予定表へ整理するイラスト コラム

算数・数学は、時間をかければ解けるだけでは十分ではありません。試験時間内に正確に解くところまで、練習する必要があります。

「時間があれば、もっと解けたのに」。

テストが返ってきたとき、お子様からこんな言葉を聞くことはありませんか。家で解き直すと正解できるだけに、「理解はできているから大丈夫」と思いたくなるかもしれません。

しかし私は、数学の「時間が足りなかった」を、まず実力と練習の問題として見ます。時間内に使える状態まで、身につけられているか。ここを見ずに、時計の見方や時間配分だけを工夫しても、根本的な解決にはつながりません。

この記事で分かること

  • 01時間があれば解ける問題も、練習し直した方がいい?
  • 02計算が遅い場合と、解き方が浮かばない場合は何が違う?
  • 03試験中に手が止まったら、その問題を考え続けるべき?

小学生の算数では、まず計算力を確認する

小学生の段階で時間不足を相談されたら、私はまず計算力を見ます。

解き方が分かっていても、一つひとつの計算に時間がかかれば、最後までたどり着けません。文章題や図形の問題でも、式を立てた後に計算する場面は出てきます。

ここで確認したいのは、「計算問題で一度、正解できたか」だけではありません。普段の宿題で、どれくらい迷わず、正確に計算を進められているかです。

計算に時間を使いすぎているなら、難しい問題を増やす前に、基本の計算を正確に進める練習が必要です。

速さだけを求めて、読み違える数字を書いたり、計算ミスを増やしたりしては意味がありません。目指すのは、雑に急ぐことではなく、練習によって迷う時間を減らすことです。

中学生・高校生の数学では、解き方を取り出せるかを見る

中学生・高校生になると、計算力に加えて、その分野をどこまで理解しているかが重要になります。

問題を読んだ後、「何を使えばよいのだろう」と毎回長く考えている。解説を読めば分かるけれど、自分だけでは最初の式が出てこない。こうした状態では、ペンが止まっている時間が積み重なります。

私は、受験数学の難しい問題でも、まず典型的な問題や条件の組み合わせとして捉えます。新しい問題に見えても、使う道具の一つひとつは、すでに学んだ内容ということがあります。

例えば、直線 y = 2x に関して、ある点と対称な点を求める問題。直線上にない点を考えると、「対称」という条件を次の二つに分けられます。

  1. 二つの点の中点が、直線 y = 2x 上にある。
    → 中点の座標を、y = 2x に当てはめられる。
  2. 二つの点を結ぶ直線が、直線 y = 2x と直交する。
    → 二つの点を結ぶ直線の傾きは −1/2 になる。

「対称な点」という言葉を見たときに、中点と直交の二条件がすぐ浮かぶか。それとも、そこから考え込んでしまうか。同じ問題を最終的には解けたとしても、必要な時間は違ってきます。

数学では、解説を理解するだけでなく、問題の条件を見て、必要な考え方や式を自分で取り出せるまで練習することが大切です。

単に答えを覚える、という話ではありません。「なぜその条件を使うのか」を理解したうえで、問題を見たときに使える状態へ持っていくのです。

正解した問題にも、繰り返す意味がある

「この問題はもう解けたから、次へ進もう」。そう考えるのは自然です。しかし、一度正解したことと、十分に練習できたことは同じではありません。

解くたびに長く考え込むなら、試験時間内に処理できる状態には、まだ届いていないかもしれません。正解した問題であっても、繰り返し解く練習が必要なことはあります。

「解けたから終わり」ではなく、
「必要な考え方が、自分で出てくるか」。

解き直すときには、答えが合ったかに加えて、前回止まったところで今回も止まったかを確かめます。計算に時間がかかったなら、その計算を。条件を式にできなかったなら、その考え方を練習します。

一度正解した問題でも、解き方を思い出すのに時間がかかるなら、繰り返し練習する価値があります。

ただし、解ける問題をいつまでも同じ回数だけ繰り返せばよい、という意味ではありません。理解したうえで自力で進められるようになったら、まだ時間がかかる問題へ重点を移していきます。

教材の復習の進め方は、宿題を3周して、解いて終わりにしない方法でも紹介しています。一度正解した算数・数学の問題を、もう一度解く意味にも触れています。

本番では、手が止まった問題に居続けない

練習を積むことと、本番で適切に時間を配分することは、両方必要です。

一問に時間をかけ続けた結果、後ろにある解ける問題まで手をつけられなかった。この場合は、知識や計算の練習だけでなく、試験中の判断も振り返ります。

試験中、解く方針が見えずに手が止まったままなら、いったん次の問題へ進み、解ける問題に時間を使う判断が必要です。

少し考えたら何でも飛ばす、ということではありません。解く見通しがあり、式や計算を進めている状態と、同じ問題を眺めたまま何も進んでいない状態は違います。

飛ばした問題には印を付け、ほかの問題を解いた後で戻る方法もあります。「ここまで考えたのだから」と一問に居続けるより、試験全体で取れる点を取りにいくことを考えます。

一律に「何分で飛ばす」と決めるのではなく、試験時間や配点、その子が解ける問題に合わせて判断します。

「時間が足りなかった」の先を振り返る

テスト後は、時間が足りなかったという結果だけで終わらせず、どこに時間を使ったかを分けてみてください。

  1. 計算で止まる→時間がかかった計算を取り出して練習する。
  2. 方針が出ない→問題の条件と、使う考え方のつながりを確認する。
  3. 一問に固執→次の問題へ進む判断ができたか振り返る。

「実力不足」「練習不足」という言葉は、子どもを責めて終わるためのものではありません。まだ練習すべきことが残っているなら、それを具体的に見つけるための言葉です。

私は、「時間があれば解けたから大丈夫」とは考えません。その問題を試験で得点に変えるために、何を身につければよいか。そこまで一緒に考えることが、次のテストへの準備になります。

解説を読んでも、どこを練習すればよいか分からないときは?

解答全体を眺めるより、最初に自力で進められなくなった箇所を確かめます。使う条件が分からなかったのか、式の意味が曖昧なのか、計算に時間がかかったのか。つまずく場所を絞る考え方は、勉強の進め方を見直すための解説も参考にしてください。

Boost Academyでは、個別指導で理解を確かめ、自習で必要な練習を積むことを大切にしています。テストの答案や普段の教材をもとに、お子様が何を練習すべきかを一緒に整理します。