何がうまくいかないのかを言葉にできると、次に取り組むことが見えてきます。私は、そこに言語化の大切さがあると考えています。
「勉強が分からない」「また失敗した」「もっと頑張らないと」。
こうした言葉が出てきたとき、何を分かっていないのか、どんな失敗をしたのか、次に何を頑張るのかまで話せているでしょうか。
私は、何かにつまずき、動き出せなくなる背景には、言語化不足があることが多いと考えています。勉強だけでなく、大人が仕事や新しい挑戦で行き詰まるときにも、通じる話だと思うのです。
この記事で分かること
- 01「分からない」を、なぜもう一段詳しく言葉にするの?
- 02言語化すると、勉強の振り返りや次の行動はどう変わる?
- 03小学生への声かけでも、なぜ言葉の具体性が大切なの?
言語化は、上手に話すためだけのものではない
「言語化」と聞くと、難しい言葉を使ったり、人前で分かりやすく話したりする力を想像するかもしれません。
もちろん、相手に伝わることは大切です。ただ、私が勉強で重視しているのは、まず自分が置かれている状況を、自分でも分かる形にすることです。
何が起きているか、分からない。
だから、何をすればいいかも分からない。
この状態のまま、「とにかく頑張ろう」と言われても、どこから手をつければよいのでしょうか。本人に努力する気持ちがあっても、向かう先が曖昧なままでは、動きにくいと思います。
言語化の目的は、立派な説明をつくることではありません。自分のつまずきを具体的にして、やるべきことを決めるためです。
「失敗の名前」と「失敗の内容」は違う
例えば「ケアレスミスをした」は、失敗につけた名前です。それだけでは、実際に何が起きたのかは分かりません。
同じように、「時間が足りなかった」は結果を伝えていますが、どこに時間がかかったのかまでは説明していません。
考え方の例として、次のように一段具体的にしてみます。
失敗につけた名前
「ケアレスミスをした」
実際に起きたこと
「途中式の6を、次の行で0と読んだ」
文章題なら、「算数が苦手」から、「問題文は読めたけれど、どの数字を使って式をつくるか決められなかった」へ進めます。
時間不足なら、まず、どの問題にどれくらい時間を使ったのかを確かめます。それを見て初めて、計算に時間がかかったのか、一つの問題で長く止まったのかを考えられます。
「苦手」「ミス」「時間不足」という言葉で終わらせず、どこで何が起きたのかまで具体的にします。
言葉が具体的になると、直す場所も変わる
「算数をもっと頑張る」と決めることと、「6と0を書き分ける」と決めることでは、今日やることの具体性が違います。
式の立て方で止まるなら、計算問題だけを増やしても、つまずいた部分を練習できていないかもしれません。問題文の数字と式の意味をつなげて考える必要があります。
失敗の内容を言葉にするのは、反省を深く見せるためではありません。見直す場所を間違えないためです。
そのうえで「なぜ起きたのか」を考えます。分かっている事実と、まだ確かめていない原因の候補は、分けておきます。もっともらしい理由を一つ言えたからといって、それが正しいとは限らないからです。
子どもに、最初から完璧な説明を求めなくてよい
言語化が大切だからといって、子どもに「なぜ?」「どうして?」と聞き続ければよいわけではありません。うまく説明できず、そこで止まってしまうこともあります。
最初は、「ここまでは分かった」「この行から分からない」という短い言葉で構いません。本人が指した問題や途中式を見ながら、大人が一段ずつ小さく分けて確かめます。
子どもが説明に困ったときは、話す力を責めるのではなく、分かるところと分からないところを一緒に分けます。
これは、答えを大人が代わりに全部言ってしまうこととも違います。「どうしてその式になったの?」と聞いてみる。答えにくければ、式の中の一つの数字から確かめる。そうやって、本人が考えていることを少しずつ言葉にしていきます。
個別指導の受け答えを重視しているのも、このためです。正解か不正解かだけでなく、何を考えてその答えになったのかを聞けます。詳しくは、「分かったつもり」を確かめる個別指導でも紹介しています。
大人も「ちゃんとして」を具体的にする
言語化が必要なのは、子どもだけではありません。大人の言葉が曖昧なら、子どもは何を変えればよいのか分かりません。
例えば「字をきれいに書きなさい」。大人には伝えたつもりでも、子どもには、ノート全体をゆっくり整えるよう求められているように聞こえるかもしれません。
私なら、数字の読み違いで点を落とした子には、「この6と0を、見間違えないように書き分けよう。ここで点を落とすのはもったいない」と、直す箇所と理由を絞って伝えます。
小学生にも納得感は大切です。大人も「何を、なぜ変えてほしいのか」を具体的な言葉で伝えます。
年齢が低いから理由はいらない、とは思いません。長い説明を全部理解してもらおうとするのではなく、その子に関係のある理由を短く伝える。そのためにも、大人側が、何を直してほしいのか整理しておく必要があります。
言葉にして終わらず、次の一歩までつなげる
言語化そのものが、目的になってはいけません。失敗した理由を上手に説明できても、次に何も変えなければ、同じところで止まってしまいます。
- 状況を言葉にする→どこで、何が起きたのかを確かめる。
- 行動を決める→原因に合わせて、次に変えることを一つ選ぶ。
- 試して確かめる→次の問題で実行し、うまくいったかを見る。
勉強の中で、この流れを経験してほしいと思っています。「自分はできない」で終わるのではなく、「ここで止まった。だから次はこれをする」と考える。その姿勢は、勉強以外の挑戦でも大切になると私は考えています。
言葉にするだけで、すべての問題が解決するわけではありません。ただ、何をするか決まらず動けないときに、状況を整理する一歩にはできます。
振り返りは、原因を言葉にするだけで終えず、次に変える行動を決めるところまで行います。
学習の進め方を見直したい方には、勉強でつまずいたときの学習法も参考になります。
Boost Academyでは、個別指導の受け答えと自習での取り組みを通して、分からないところを具体的にし、次に取り組む課題へつなげます。「何から直せばよいか分からない」という段階から、ご相談ください。
ブーストアカデミーでは|「うまくいかない」を次の一問へつなぐ
「数学ができない」と聞いたら、答案を見ながら「式を選べないのか、計算で止まるのか」を分けます。正解した問題でも式の意味を言えない場合は、数値を変えた類題で理解を確かめます。
言葉がまだ出ない子には、選択肢を示したり、説明する範囲を一段小さくしたりします。つまずきが見えたら、その段階の問題へ戻ってから自習で再び解けるか確認します。
ブーストアカデミーでは、失敗を具体的な言葉にして、戻る問題と次に試す行動を決めます。
